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ホワイトニングができない歯とは?5つの原因と6つの対処法を歯科医が解説

「歯を白くしたいけど、ホワイトニングできない歯があると聞いた…」 「せっかくホワイトニングしても効果がない歯ってあるの?」 「ホワイトニングできない人の条件は?どうすれば白い歯になれる?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ホワイトニングができない歯の種類や原因、ホワイトニングができない人の特徴、そして代替となる歯を白くする方法までを詳しく解説します。

歯科医師監修のもと、正確な情報をもとに、あなたに最適な歯の美白方法を見つける手助けをします。ぜひ最後までお読みください。

目次

ホワイトニングとは?基本を理解しよう

歯のホワイトニングを理解するためには、まずその仕組みを知ることが重要です。

ホワイトニングの仕組み

歯のホワイトニングは、主に「過酸化水素」や「過酸化尿素」などの漂白剤を使用して、歯の内部にある色素を分解・除去する方法です。

これらの薬剤が歯のエナメル質を通過して象牙質まで浸透し、そこにある色素を分解することで歯を白くします。つまり、自分の天然歯を内側から白くする処置なのです。

ホワイトニングの種類

一般的なホワイトニングには以下の3種類があります。

1. オフィスホワイトニング

  • 歯科医院で専門家が行う施術
  • 高濃度の漂白剤を使用
  • 短時間で効果が現れる
  • 1回で効果を実感できるが、複数回の施術でより白くなる

2. ホームホワイトニング

  • 歯科医師の指導のもと、自宅で行う
  • 専用のマウスピースと低濃度の漂白剤を使用
  • 効果が出るまでに時間がかかる(1〜2週間程度)
  • 毎日継続する必要がある

3. デュアルホワイトニング

  • オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法
  • より効果的で持続性が高い
  • 費用は高めだが、効果も高い

ホワイトニングができない歯とは?5つの原因

ホワイトニングは万能ではなく、いくつかのケースでは効果が期待できないことがあります。ここでは、ホワイトニングができない歯について詳しく解説します。

1. 被せ物や詰め物などの人工歯

最も代表的なホワイトニングができない例が、被せ物や詰め物などの人工歯です。

これらは人工的な材料(セラミック、プラスチック、金属など)で作られており、ホワイトニング剤は天然の歯のエナメル質や象牙質にのみ作用します。人工物には浸透せず、色を変えることができません。

そのため、前歯に大きな詰め物がある場合などは、ホワイトニング後に周囲の天然歯との色の差が目立つことがあります。

2. 神経を取った歯(失活歯)

神経を取った歯(根管治療をした歯) も、通常のホワイトニングでは十分な効果が得られないことがあります。

神経のある歯(生活歯)と比べて神経のない歯(失活歯)は血液循環がないため、内側から徐々に黄ばんだり変色したりすることがあります。

通常のホワイトニングでは効果が限定的ですが、「ウォーキングブリーチ法」という特殊なホワイトニング方法で対応できる場合もあります。これは歯の内側から薬剤を入れて漂白する方法です。

3. テトラサイクリン変色歯

テトラサイクリン変色歯とは、乳歯や永久歯の形成期に抗生物質であるテトラサイクリンを服用した場合に起こる歯の変色です。

この変色は歯の深部に及んでいるため、通常のホワイトニングでは完全に白くすることが難しく、複数回の集中的なホワイトニングが必要になることもあります。

変色の程度によっては、セラミック治療など他の方法を検討する必要があるかもしれません。

4. 金属が溶出して変色した歯

金属製の詰め物や被せ物が長期間使用されていると、その金属が歯の内部に溶け出して歯を変色させることがあります。

特に銀歯(アマルガム)などが歯の内部を黒く変色させることがよくあります。この種の変色は通常のホワイトニングでは完全に除去できないことが多いです。

5. エナメル質や象牙質の形成不全

生まれつきのエナメル質形成不全象牙質形成不全がある場合、歯の構造自体に問題があるため、ホワイトニングの効果が限定的であることがあります。

また、このような歯は通常よりも知覚過敏を起こしやすいため、ホワイトニング自体がリスクを伴う場合もあります。

ホワイトニングができない人の特徴7つ

次に、様々な理由でホワイトニングを受けられない、または控えたほうが良い人の特徴をご紹介します。

1. 18歳未満の方

18歳未満の方は、歯の成長がまだ完全ではなく、歯髄腔(神経や血管がある部分)が大きいため、ホワイトニングによる刺激や痛みのリスクが高まります。

また、若年層には神経の損傷や将来的な問題を引き起こす可能性があるため、多くの歯科医師は18歳未満へのホワイトニングを推奨していません。

2. 虫歯や歯周病がある方

虫歯や歯周病などの口腔疾患がある場合は、まずそれらの治療を優先する必要があります。

ホワイトニング剤は虫歯部分に浸透すると強い痛みを引き起こし、また歯周病がある場合は歯肉への刺激で症状を悪化させる可能性があります。

3. 知覚過敏の方

知覚過敏(歯がしみる症状)がある方は、ホワイトニング剤によってその症状が悪化する可能性があります。

ホワイトニング剤自体が一時的な知覚過敏を引き起こすことがあるため、もともと知覚過敏がある方は注意が必要です。事前に歯科医師に相談し、場合によっては知覚過敏の治療を先に行うことをおすすめします。

4. 歯にひびが入っている方

歯にひびや亀裂が入っている場合、ホワイトニング剤がそこから内部に侵入し、強い痛みを引き起こす可能性があります。

また、ひびが大きくなるリスクもあるため、まずはひびの治療を行うことが重要です。

5. 妊娠中・授乳中の方

妊娠中や授乳中の方は、ホワイトニング剤の安全性が完全に証明されていないため、リスクを避ける観点から施術を控えるのが一般的です。

特に妊娠初期(第一三半期)はより慎重を期する必要があります。出産後や授乳が終わってからホワイトニングを検討しましょう。

6. 無カタラーゼ症の方

無カタラーゼ症とは、カタラーゼという酵素が欠損または不足している稀な遺伝的疾患です。

カタラーゼは過酸化水素(ホワイトニング剤の主成分)を分解する酵素であるため、この疾患がある方がホワイトニングを受けると、過酸化水素が体内に蓄積され、組織を損傷する恐れがあります。

7. 光線過敏症の方

**光線過敏症(光線アレルギー)**がある方は、オフィスホワイトニングで使用する特殊な光(LED光や紫外線など)によって皮膚や粘膜に炎症反応が起きる可能性があります。

このような場合は、光を使用しないホームホワイトニングを選択するか、別の方法で歯を白くすることを検討しましょう。

ホワイトニングができない場合の対処法6選

ホワイトニングができない歯や条件がある場合でも、歯を白くする方法はあります。ここでは6つの代替方法をご紹介します。

1. 専門的クリーニング(PMTC)を受ける

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning) は、歯科医院で行う専門的なクリーニングです。

歯の表面に付着した着色汚れ(コーヒー、お茶、たばこなどによるステイン)を除去することができます。ホワイトニングとは異なり、歯の内部の色は変えられませんが、表面の汚れを落とすことで見た目は改善します。

定期的にPMTCを受けることで、歯の健康を保ちながら清潔感のある歯を維持できます。

2. セラミック治療(ラミネートベニア)

ラミネートベニアは、歯の表面にごく薄いセラミックを接着する治療法です。

歯を大きく削らずに見た目を改善できるため、ホワイトニングができない前歯などに適しています。色や形、大きさも調整できるので、より自然で美しい歯を手に入れることができます。

3. オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、歯全体をセラミックで覆う治療法です。

神経を取った歯や大きな虫歯があった歯、変色が著しい歯などに適しています。天然の歯のような透明感と美しさを再現できます。

ただし、健康な歯を削る必要があるため、適応症例をよく検討する必要があります。

4. ホワイトコート剤の使用

ホワイトコート剤は、歯の表面に特殊なコーティング剤を塗布して一時的に白く見せる方法です。

効果は一時的(数日〜1週間程度)ですが、即効性があり、特別なイベントなどの前に使用するのに適しています。ホワイトニングができない歯にも使用できます。

5. ホームホワイトニングを試す

ホワイトニングができない特定の条件(虫歯や歯周病など)が解消された後は、ホームホワイトニングを試してみるのも一つの方法です。

オフィスホワイトニングよりも低濃度の薬剤を使用するため、知覚過敏などのリスクが比較的低く、自分のペースで行えるというメリットがあります。

6. ハイブリッドセラミックインレー

ハイブリッドセラミックインレーは、セラミックとレジン(プラスチック)を組み合わせた材料で作る詰め物です。

昔の銀歯などを白い詰め物に交換する際に使用されます。天然歯に近い色調で、比較的手頃な価格で治療が可能です。

ホワイトニングができない場合の歯を白くする方法の比較表

各治療法の特徴を比較表でまとめました。あなたの状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

治療法 適応症例 メリット デメリット 費用目安 持続期間
専門的クリーニング(PMTC) 表面の着色汚れがある歯 ・歯を削らない<br>・痛みがほとんどない<br>・すぐに効果がある ・内部の変色には効果がない<br>・効果は一時的 5,000円〜10,000円 3ヶ月〜6ヶ月
ラミネートベニア 前歯の変色や形態異常 ・歯の削減量が少ない<br>・色や形を改善できる<br>・耐久性が高い ・比較的高額<br>・歯を若干削る必要がある 1本あたり5万円〜15万円 5年〜10年
オールセラミッククラウン 神経を取った歯や大きな虫歯があった歯 ・色や形を大きく改善できる<br>・耐久性が高い<br>・天然歯のような透明感がある ・歯を大きく削る<br>・高額 1本あたり8万円〜20万円 10年〜15年
ホワイトコート剤 一時的に白い歯が必要な場合 ・侵襲性がない<br>・即効性がある<br>・比較的安価 ・効果が一時的<br>・食事や飲料で剥がれる 3,000円〜10,000円 数日〜1週間
ホームホワイトニング 軽度〜中度の変色 ・自宅で行える<br>・低濃度で刺激が少ない<br>・自分のペースで行える ・効果が出るまで時間がかかる<br>・継続的な管理が必要 2万円〜5万円 6ヶ月〜1年
ハイブリッドセラミックインレー 銀歯の交換など ・天然歯に近い色<br>・金属アレルギーの心配がない<br>・比較的手頃な価格 ・経年劣化で変色する可能性がある<br>・強度が純セラミックより劣る 1本あたり2万円〜5万円 5年〜7年

Q&A:ホワイトニングに関するよくある質問

ここでは、ホワイトニングに関するよくある質問にお答えします。

Q1: 神経のない歯は絶対にホワイトニングできないのでしょうか?

A: 通常のホワイトニングでは効果が限定的ですが、「ウォーキングブリーチ法」という特殊なホワイトニング方法で対応できる場合があります。

これは歯の内側(神経を取った部分)から漂白剤を入れて内側から漂白する方法です。一般的なオフィスホワイトニングやホームホワイトニングとは異なるため、専門医に相談することをおすすめします。

Q2: テトラサイクリン変色歯はどの程度白くなりますか?

A: テトラサイクリン変色歯は通常のホワイトニングでは完全に白くすることは難しいですが、変色の程度によっては一定の改善が期待できます。

重度の変色の場合は、複数回のホワイトニングや、場合によってはセラミック治療などの選択肢も検討する必要があります。個々の症例により異なるため、歯科医師の診断を受けることをおすすめします。

Q3: 知覚過敏がありますが、何かホワイトニングの代替方法はありますか?

A: 知覚過敏がある場合、まずはその治療を行うことをおすすめします。知覚過敏が改善した後にホワイトニングを検討することも可能です。

代替方法としては、PMTCによる表面着色の除去や、ラミネートベニアやクラウンなどの治療が考えられます。知覚過敏の程度や原因によって最適な方法が異なるため、歯科医師に相談してください。

Q4: 妊娠中ですが、出産後すぐにホワイトニングを受けられますか?

A: 授乳中もホワイトニングは一般的には推奨されていないため、授乳が終了してからホワイトニングを検討することをおすすめします。

ただし、歯科医師によっては授乳中でも安全性が高いホームホワイトニングを推奨する場合もあります。必ず専門家に相談し、個々の状況に合わせた判断を仰いでください。

Q5: 昔入れた銀歯を白くするにはどうすればいいですか?

A: 銀歯を白くするには、銀歯を除去して白い材料の詰め物や被せ物に交換する必要があります。

選択肢としては、ハイブリッドセラミックインレー、オールセラミッククラウン、レジン(プラスチック)の詰め物などがあります。歯の状態や予算に応じて最適な方法を歯科医師と相談して決めるとよいでしょう。

まとめ:あなたに最適な歯を白くする方法を見つけよう

ホワイトニングができない歯や条件があっても、諦める必要はありません。あなたに合った方法で白い歯を手に入れることができます。

  • ホワイトニングができない歯には、人工歯(被せ物や詰め物)、神経を取った歯、テトラサイクリン変色歯などがあります。
  • ホワイトニングができない人の特徴として、18歳未満、虫歯や歯周病がある、知覚過敏、妊娠中・授乳中などが挙げられます。
  • 代替方法には、PMTCによるクリーニング、セラミック治療、ホワイトコート剤の使用などがあります。

まずは歯科医院で相談し、あなたの口腔内の状態を正確に診断してもらうことが重要です。専門家のアドバイスをもとに、あなたに最適な治療法を選びましょう。

白い歯は自信につながり、笑顔をより輝かせてくれます。ホワイトニングができなくても、あきらめずに理想の白い歯を目指してください。

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