歯並びを美しく整えたいと思っているあなたは、「マウスピース矯正ローコスト」という名前を聞いたことがあるでしょうか?
「月々3,000円から始められる」「軽度から重度まで対応可能」といった特徴で注目を集めているマウスピース矯正サービスです。
しかし、「本当に安全なの?」「他のマウスピース矯正と何が違うの?」「自分に合っているのかな?」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
この記事では、マウスピース矯正ローコストの特徴から費用、他ブランドとの比較、そして治療前に知っておきたい注意点まで、徹底的に解説します。
矯正治療は人生を通じての歯の健康にも関わる大きな決断です。この記事を読んで、あなたに最適な矯正方法を見つけていただければと思います。

マウスピース矯正ローコストとは?基本情報と特徴
ローコストの運営会社と設立背景
マウスピース矯正ローコストは、株式会社スマイルアンドトゥースが2019年10月に日本で開始したマウスピース矯正ブランドです。
運営会社は矯正歯科技工所としての実績を持つ専門企業で、これまでの経験を活かして「より多くの人に手が届く矯正治療」を目指してサービスを立ち上げました。
サービス開始から約5年で全国300院を超える提携クリニック網を構築し、急速に成長している新興ブランドです。
「月々3,000円から」を実現する仕組み
ローコストの最大の特徴は、その名の通り低価格での矯正治療を実現していることです。
月々3,000円という価格は、例えば部分矯正向けの30万円のライトプランを36回払いにした場合の一例です。さらに、独自の「ローコストPay」という無金利分割サービスを提供しており、患者は金利・手数料0円で分割払いが可能になっています。
この低価格を実現できる理由として、以下のポイントが挙げられます。
前歯に特化した部分矯正で施術歯数を絞ることで、治療範囲を限定してコストを削減しています。中間業者を省き、自社工場でマウスピースを製造することで製造コストを抑えています。
デジタル技術を活用した効率的な治療計画により、従来の矯正治療と比べて時間とコストを削減しています。
軽度から重度まで対応可能な理由
一般的に低価格なマウスピース矯正ブランドは部分矯正中心で、複雑なケースには対応が困難とされています。
しかしローコストでは、重度の乱杭歯や出っ歯・受け口などにも対応可能としています。
この幅広い対応力の背景には、監修医の存在があります。矯正専門医でインビザライン公式ダイヤモンドドクターの湊寛明氏が治療計画を監修し、2019〜2021年で症例実績810件以上の豊富な経験を活かしています。
また、国家資格を持つ歯科技工士が自社工場でマウスピースを製造する体制を整えており、精度の高い治療計画で様々な歯並びに対応できるとしています。
ただし、極端な顎骨の問題や抜歯が必要なケースでは、ローコストでも対応困難な場合があり、その際はワイヤー矯正や外科的矯正を勧められることもあります。
全国300院以上の提携クリニック網
ローコストは提携歯科クリニックを全国に拡大しており、2022年4月時点で全国300院超を達成しました。
地域別の内訳を見ると、関東212院、関西59院、中部17院、九州10院、東北2院、中国2院と公表されており、都市部だけでなく地方への展開も進めています。
提携クリニック数の多さはローコストの強みで、転勤や引越し時にも対応しやすいメリットがあります。提携院であればどこでも共通のローコスト治療を受けられるため、全国のどこにいても安心して治療を継続できます。
ローコストの料金プランと治療の流れ
3つのプラン詳細(ライト・スタンダード・プロ)
ローコストには症例の範囲や医師の監修レベルに応じて、**「ライト」「スタンダード」「プロ」**の3つのプランが用意されています。
ライトプラン(部分矯正) 前歯上下各6〜10本の軽度症例向けで、総額30万・54万・75万円の3コースがあります。治療期間の目安は3.5〜11.5ヶ月です。
比較的軽微な歯並びの乱れや、前歯の隙間を閉じたい方に適したプランです。
スタンダードプラン(全体矯正) 中程度〜重度の歯並びの乱れに対応し、45万・90万・110万円の3コースを用意しています。治療期間は3ヶ月〜1年半程度です。
奥歯を含めた全体的な歯列矯正が必要な方に向けたプランです。
プロプラン(全体矯正・監修医プラン) インビザライン認定医の湊医師が治療計画を直接監修するプランで、55万・95万・115万円の3コースがあります。治療期間は3ヶ月〜1年半程度です。
より複雑な症例や、専門医による手厚いサポートを希望する方におすすめのプランです。
総額制で安心の料金体系
ローコストの料金体系の大きな特徴は、矯正に必要な処置費用をすべて含んだ総額制であることです。
具体的には、以下の費用がすべて含まれています。
- 3Dシミュレーション作成料
- 精密検査費用
- アタッチメント装着費用
- IPR(歯のわずかな削合)費用
- 保定装置代
このため、治療開始後に「追加で費用がかかります」と言われる心配がありません。
ただし、注意点として、ライトプラン以外にはリテーナー代が含まれていますが、紛失・追加作製時は費用負担が発生する場合があります。
独自の「ローコストPay」分割システム
2022年4月、ローコストはスマートチェックアウト社と提携して**「ローコストPay」**という独自の決済サービスを開始しました。
この仕組みの最大の特徴は、金利・手数料0円で分割払いができることです。従来のデンタルローンでは利息がかさむため、総額が高くなってしまうのが課題でした。
ローコストPayにより「デンタルローンは利息が気になるし、一括払いも難しい」という患者層にも矯正治療を提案しやすくなり、特に若年層でローコスト矯正を検討する人が増えています。
各クリニックでのクレジットカード払いやデンタルローンにも対応しており、患者の経済状況に合わせて柔軟にサポートしています。
治療開始から完了までのステップ
ローコストの治療プロセスは、以下のような流れで進みます。
1. 無料カウンセリング予約 まずは提携クリニックに予約を取り、カウンセリングを受けます。この段階では費用はかかりません。
2. 初回カウンセリング(検査・診断) 歯科医師が歯並びの悩みを聞き取り、口腔内検査や噛み合わせ診察を行います。治療方針と見積もりが提示されます。
3. 契約・申込み カウンセリング内容に納得したら契約を行い、治療を開始します。
4. マウスピース製造・受け取り・治療開始 歯のスキャンデータなどから、院内または自社工場でマウスピースを製造します。最短2週間でマウスピースが患者宅に届き、治療を開始できます。
5. 定期チェック 約2ヶ月に1回の頻度で提携クリニックへ通院し、進捗チェックを受けます。対面通院の負担を減らすため、LINEなどによるオンライン相談・サポート体制も整えられています。
6. 矯正終了・保定管理 矯正完了後は後戻りを防ぐため保定期間に入り、動かした歯が安定するまで最終マウスピースかリテーナーを20時間以上装着することが推奨されています。
他のマウスピース矯正ブランドとの徹底比較
マウスピース矯正の選択肢は年々増えており、それぞれに特徴があります。ここでは主要なブランドとローコストを比較してみましょう。
インビザラインとの違い
インビザラインは世界100カ国以上で展開され、累計1100万人以上の治療実績を持つ世界最大手のマウスピース矯正です。
費用面では、インビザラインの全体矯正は80万〜100万円程度が相場で、ローコストのプロプラン(55万〜115万円)と比較すると、症例によってはローコストの方が安価になる場合があります。
対応症例の幅では、インビザラインは軽度から重度まで、抜歯症例や外科矯正も含めて幅広く対応可能です。ローコストも重度まで対応するとしていますが、インビザラインの方がより豊富な実績と選択肢を持っています。
治療システムでは、インビザラインは先進的な3Dシミュレーション技術と、症例に応じた豊富なプラン(Teen、Lite等)を提供しています。一方、ローコストは3つのシンプルなプラン構成で分かりやすさを重視しています。
キレイライン矯正・Oh my teethとの比較
キレイライン矯正は初回2万円+2回目以降1ステップ5万円で、総額約20万〜50万円の低価格部分矯正サービスです。
ローコストのライトプラン(30万〜75万円)と比較すると、軽度症例ではキレイラインの方が安価になりますが、ローコストの方が対応できる症例の幅が広いという違いがあります。
Oh my teethは部分矯正プラン33万円、全体矯正プラン66万円の2つのプランで、通院は原則初回のみというユニークなサービスです。
ローコストと比較すると、Oh my teethは通院回数の少なさが魅力ですが、ローコストは全国300院以上の提携クリニック網による手厚いサポート体制が強みです。
価格・対応症例・サービス内容の比較表
ブランド名 | 料金プラン(税込) | 対応症例の範囲 | 特徴・サービス内容 |
---|---|---|---|
ローコスト | ライト:30万・54万・75万円<br>スタンダード:45万・90万・110万円<br>プロ:55万・95万・115万円 | 軽度〜重度 | 月々3,000円〜分割可。全国300院以上提携。重度症例は認定医監修 |
インビザライン | 全体矯正:80万〜100万円程度<br>部分矯正:数十万円 | 軽度〜重度(抜歯・外科症例も対応) | 世界最大手、累計1100万人の実績。先進的3D技術 |
キレイライン矯正 | 初回2万円+1ステップ5万円<br>(総額約20万〜50万円) | 軽度〜中度(前歯中心) | 若年層に人気の低価格部分矯正 |
Oh my teeth | 部分矯正:33万円<br>全体矯正:66万円 | 軽度〜中度 | 通院は原則初回のみ。24時間LINEサポート |
ローコストならではの強みと弱み
強みとして、以下の点が挙げられます。
症例対応の幅が広く、軽度から重度まで対応可能で、他の格安ブランドでは難しい複雑なケースにも挑戦している点です。
全国300院以上の提携クリニック網により、どこに住んでいても治療を受けやすく、転勤時なども安心です。
独自の無利子分割プラン「ローコストPay」により、支払い面での柔軟性があります。
弱みとしては、以下の点に注意が必要です。
重度症例でプロプランを選ぶ場合、最大115万円と他の格安ブランドに比べて高額になる可能性があります。
リテーナー代や診察料など、一部で追加費用が発生する場合があります(他社では追加費用ゼロを打ち出している所もあります)。
新興ブランドのため、インビザラインのような長期間の実績はまだ蓄積されていません。
ワイヤー矯正との比較で分かるメリット・デメリット
マウスピース矯正を検討する際は、従来のワイヤー矯正との違いも理解しておくことが重要です。
費用面での違い
一般的に、マウスピース矯正の方がワイヤー矯正より費用が安い傾向があります。
費用相場を比較すると、部分矯正ではマウスピース矯正が約10〜40万円に対し、ワイヤー矯正は約30〜70万円です。
全体矯正では、マウスピース矯正が約60〜100万円、ワイヤー矯正は装置の種類により約60〜170万円程度が目安です。表側ワイヤー矯正で60〜130万円、裏側矯正では40〜170万円と高額になるケースもあります。
ローコストの場合、軽度の部分矯正なら総額30万円から始められるため、費用面でのメリットは大きいと言えるでしょう。
見た目・痛み・通院頻度の比較
見た目の違いでは、マウスピース矯正の最大のメリットは装置が透明で目立たないことです。至近距離でよく見ないと矯正中と気づかれにくく、接客業や人前に出る仕事の方でも審美面のストレスが少ない矯正が可能です。
対するワイヤー矯正は、金属製のブラケットとワイヤーを歯に装着するため、どうしても装置が見えてしまいます。
痛みに関しては、一般的にワイヤー矯正は痛みを感じやすく、マウスピース矯正は痛みが少ないとされています。
マウスピース矯正は段階的に弱い力で歯を移動させるため比較的マイルドな痛みで済むケースが多く、装置自体も滑らかなマウスピースのみなので頬の裏や唇を傷つけにくいです。
通院頻度では、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて定期通院の頻度を抑えられます。マウスピース矯正では1〜3ヶ月に1回程度の通院が一般的で、ローコストも基本2ヶ月おきくらいの来院で済みます。
対してワイヤー矯正は月に1回程度の調整通院が必要です。
自己管理の重要性
**マウスピース矯正最大のデメリットは、装置を自分で着脱できるがゆえの「自己管理の難しさ」**です。
マウスピースは1日20時間以上装着し続けないと計画通り歯が動きません。装着時間が不足すると治療が進まないばかりか、次のステップのマウスピースが合わなくなり、治療計画の練り直しが必要になる恐れもあります。
したがって患者自身が装着時間をしっかり守り、食事や歯磨き以外は常にはめておく強い自己管理意識が求められます。
これに対しワイヤー矯正は強制的に装置が付いているため患者が怠けようがなく、治療の主導権は歯科医にあります。
自身で計画通り装置を付けられる自信がある人にはマウスピース矯正が向きますが、自己管理が苦手な人や「装置を外せるとついサボってしまいそう」という人にはワイヤー矯正の方が確実でしょう。
どちらが向いているかの判断基準
以下のような特徴を持つ方には、それぞれの矯正方法が適しています。
マウスピース矯正が向いている人
- 装置が目立つのが嫌で、こっそり矯正したい
- 営業職や接客業など、人前に出る機会が多い
- 通院回数を少なくしたい
- 食事制限をしたくない
- 自己管理に自信がある
ワイヤー矯正が向いている人
- 症状が重く、確実に歯並び全体をキレイにしたい
- 見た目は気にしないから、とにかく効果を重視したい
- 自己管理が苦手で、先生にお任せしたい
- 抜歯を伴う大きな移動が必要
総括すると、「軽度〜中度の不正咬合を目立たず治療したい人」にはマウスピース矯正、「重度の乱れを確実に治したい人」にはワイヤー矯正が向いていると言えるでしょう。
年齢・ライフスタイル別の適応について
マウスピース矯正ローコストは全年齢・男女問わず利用できますが、年齢や生活スタイルによって考慮すべきポイントがあります。
学生(中高生)の場合の注意点
中高生くらいであればほぼ永久歯列が完成するため、ローコストでの矯正も可能です。
学生にとってマウスピース矯正の利点は、装置が透明で目立たないため学校生活で周囲に気づかれにくいことや、スポーツ時にも装着可能な点です。
実際ローコスト公式でも「運動時も装着可能」と回答しており、激しい運動でどうしても心配な場合以外は付けたままで問題ありません。
ただし学生の場合、自己管理が課題になることもあります。部活や試験勉強で忙しい中でも20時間以上の装着を守る意志が求められますし、昼食後の歯磨きなど衛生管理も怠らないようにしなくてはなりません。
親御さんのフォローも含めてしっかり管理できるなら学生でも十分に矯正可能ですが、「ついサボってしまいそう」なタイプだと装置を外せるマウスピース矯正は不向きかもしれません。
費用面では、ローコストは月々3,000円からの分割払い設定が可能なので、親御さんの負担軽減にもつながります。
社会人が仕事と両立するコツ
仕事をしている大人にとって、マウスピース矯正は仕事に支障を出しにくい矯正方法です。
まず装置が目立たないため、取引先や顧客と接する営業職・接客業でも装置装着による印象の変化を心配せずに済みます。会議やプレゼンの場でも矯正装置を気にせず話せるのは大きな利点でしょう。
また通院頻度が少ないことも忙しい社会人には有難い点です。ローコストの場合2ヶ月に1回程度の通院で済むため、月1回早退・休暇を取って通院するワイヤー矯正に比べスケジュール調整が容易です。
さらに遠隔サポートが充実しているため、仕事で全国転勤がある方でも引越し先近くの提携院で継続治療しやすいメリットもあります。
反面、自己管理については社会人も同様で「装着時間を確保できないほど多忙」な場合は注意が必要です。食事のたびに外して歯磨きまで済ませる時間が取れないような職場環境の場合、ワイヤー矯正の方が現実的なこともあります。
とはいえ一般的には働きながらでも問題なく矯正治療は可能であり、「人前に出る機会が多い」「忙しいが歯並びを直したい」社会人にはマウスピース矯正は適した選択肢と言えるでしょう。
主婦・子育て中の方への配慮
家事や育児に忙しい主婦の方にとっても、通院負担が少ないマウスピース矯正は取り組みやすい矯正方法です。
小さなお子さんがいると毎月歯科に通うのも一苦労ですが、ローコストなら基本的に2〜3ヶ月に1回の通院で済みます。自宅にいながらマウスピースが届き、オンラインで相談できるので子育て中でも続けやすいでしょう。
装置は取り外し可能なので、育児や家事の合間にさっと外してお子さんの相手をすることもできます。
一方で主婦の方の場合、自分のことは後回しにしがちで装置装着や清掃をつい怠ってしまうリスクも考えられます。忙しい合間でも自分のケアに時間を割けるタイプであれば問題ありませんが、そうでなければ装置の付け忘れが起きないよう意識して習慣化する工夫が必要です。
費用面ではローコストは家計に優しい月々定額払いが可能なので、まとまった矯正費用を捻出しにくい専業主婦の方でも始めやすくなっています。
なお妊娠中の方はレントゲン検査等があるため矯正治療自体を出産後まで見合わせるのが一般的です。授乳が終わりお子さんの手が離れたタイミングで矯正をスタートする主婦の方も多く、実際ローコストでも30〜40代女性の利用が多いとされています。
シニア世代でも可能な理由
矯正治療に年齢上限は基本的になく、50代60代でも健康な歯が残っていれば矯正は可能です。
実際ローコスト利用者にも60代の患者様が含まれており、「若い頃から気になっていた歯並びを定年後に直す」というケースも見受けられます。
高齢の方にとってマウスピース矯正が適している点は、装置が目立たず取り外しもできるためストレスが少ないことです。ワイヤー装置を付けることに抵抗があるシニア層でも、透明なマウスピースなら始めやすいでしょう。
義歯やインプラントがある場合は注意が必要ですが、ローコストでは前歯部にインプラントが入っているケースは利用不可とされています。
また加齢に伴い歯周病リスクも増えます。矯正中は歯に力をかけるため歯周組織に負担がかかるので、歯ぐきの状態が悪い場合は先に歯周治療が必要です。
高齢の方は若年者に比べ歯の移動速度がゆっくりになる傾向がありますが、その分ローコストなら細かいステップで段階的に動かせる利点があります。
総じて「自分の歯で一生過ごしたい」と考えるシニア世代にもマウスピース矯正は有効な選択肢ですが、持病の有無や口腔内の状態を含め担当医と相談しながら進めることが大切です。
治療前に知っておきたい注意点とリスク
マウスピース矯正ローコストで治療を始める前に、理解しておくべき注意事項やリスクがあります。
装着時間を守らないと起こること
繰り返しになりますが、マウスピース矯正は1日20時間以上の装着が必須です。
これを守れないと計画通り歯が動かず、治療期間が延びたり最悪の場合治療が失敗することもあります。「寝ているときだけ装着すればいい」という誤解をしている人もいますが、それでは全く足りません。
食事と歯磨きの時間(計3〜4時間)以外は常に装着が基本です。装着をサボると次のマウスピースがはまらなくなり、追加費用を払って作り直しという事態にもなりかねません。
実際に「装着時間を守れずに治療が進まなかった」という例も報告されており、自己管理に自信がない人は要注意です。
矯正治療に伴う一般的なリスク
マウスピース矯正に限らず、歯列矯正全般にはいくつかのリスクがあります。
虫歯・歯周病のリスク増加は、装置により歯磨きが困難になったり、マウスピース内で細菌が繁殖しやすくなることが原因です。
歯肉退縮は、歯を動かすことで歯肉が下がる現象で、特に歯並びが大きく改善される場合に起こりやすくなります。
**ブラックトライアングル(黒三角)**は、歯と歯の間に隙間ができて黒く見える現象です。
歯根吸収は歯根がわずかに吸収され短くなる現象で、矯正治療中に歯に力をかけることで起こる可能性があります。
後戻りは、矯正後に適切な保定をしないと歯が元の位置に戻ろうとする現象です。
ローコスト公式も「主なリスク」として虫歯・歯肉炎・ブラックトライアングル・歯根吸収・歯肉退縮などを挙げています。
これらは矯正治療では珍しいことではなく、適切に対処・経過観察すれば大事に至らない場合がほとんどです。例えば矯正中は毎日丁寧な歯磨きをして虫歯や歯周病を予防する、定期的にレントゲンで確認し重篤な場合は矯正力を緩めるなどの対応が可能です。
治療後については、矯正が終わったからといって装置を外しっぱなしにすると多かれ少なかれ後戻りが起こります。ローコストでも「矯正にかかった期間と同等の期間は保定期間が必要」と明記されており、保定期間中はリテーナー(保定装置)を毎日装着することが推奨されています。
リテーナーをサボるとせっかく綺麗に並んだ歯がまた動いてしまい「治療が無駄になる」こともあり得ますので注意しましょう。
対応が困難な症例について
ローコストは重度の乱杭歯などにも対応可能とはいえ、矯正方法としての限界もあります。
例えば抜歯を伴うケースや顎の骨格に問題があるケース、開咬(奥歯を噛んでも前歯が開いたままの噛み合わせ)などは、マウスピース単独では完全な改善が難しい場合があります。
こうした症例ではワイヤー矯正や外科手術との併用が必要になることもあります。ローコストでもカウンセリング時に診断した上で「この歯並びはマウスピース矯正では難しい」と判断されることがあり、その場合は無理にローコストを勧めず他の適切な治療法を提案してくれるはずです。
患者側も「自分の症例は本当にマウスピースで治るのか?」を事前によく確認しましょう。特に極端な受け口・出っ歯や重度のガタガタで抜歯スペース確保が必要な場合などは、最初からワイヤー矯正を検討した方が確実なこともあります。
安いからと安易に飛びつかず、自分の歯並びに適した方法かどうか専門医の意見を聞くことが重要です。
よくある誤解と正しい知識
マウスピース矯正について、以下のような誤解がよく見られます。
Q. 「マウスピース矯正すれば輪郭が変わって小顔になりますか?」 A. 顎の骨格自体は矯正では基本変わりません。歯並びが整うことで口元の突出感が改善し横顔が美しくなる効果はありますが、輪郭そのものを変えるには外科手術が必要なケースもあります。誇大な広告に惑わされず、効果の範囲を正しく認識しましょう。
Q. 「治療後に歯並びが戻ってしまうと聞きましたが?」 A. リテーナーで保定をしっかり行えば大きく後戻りすることは防げます。しかし保定を怠れば多少の戻り(後戻り)は起こります。矯正後も指示された期間は毎日リテーナーを装着し、定期チェックを受けるようにしましょう。
Q. 「歯にマウスピースをはめていて虫歯になりませんか?」 A. 装置自体に問題はありませんが、装着中は唾液が行き届きにくく歯垢が溜まりやすい環境になります。したがって今まで以上に丁寧な歯磨きが必要です。食後すぐ磨けない時はせめて口をゆすぐ、1日1回フロスや歯間ブラシも使うなど心がけましょう。
Q. 「矯正中にホワイトニングできますか?」 A. マウスピース矯正中でもホワイトニングは可能です。むしろマウスピースをトレー代わりに薬剤を入れて行うホームホワイトニングを併用できるケースもあります。ローコスト矯正中にホワイトニングを希望する場合は担当医院に相談してください。
Q. 「ローコストはどうしてこんなに安いのですか?」 A. 公式回答として「前歯に特化した部分矯正で施術歯数を絞っているため低価格で提供できる」と説明されています。実際、従来の矯正と比べ中間業者を省き自社製造することやデジタル技術活用でコスト削減している点も大きいです。その分、全体矯正ではなく部分矯正中心である、患者の自己管理に委ねる部分があるといった制約もあります。ローコストの安さの裏側にはこうした企業努力と治療スコープの限定があることを理解しましょう。
2024〜2025年の最新動向
マウスピース矯正業界は急速に変化しており、ローコストを取り巻く環境も日々更新されています。
サービス拡大の現状
マウスピース矯正ローコストは2019年のサービス開始以来、約2年半で提携クリニック300院超を達成し、その後も全国への展開を続けています。
2022年4月には「よい歯の日(4月18日)」に300院突破を公式発表し話題となりました。2023〜2024年にかけても提携数は増えており、公式サイトには北海道から九州まで幅広い地域のクリニックが掲載されています。
利用者数も急増しており、コロナ禍のマスク生活を追い風に20代〜30代を中心にニーズが高まったことが背景にあります。「マスクの下でこっそり矯正したい」という需要にマッチして、特に若年層での認知度が向上しました。
また、2022年4月に導入された独自の決済サービス「ローコストPay」により、費用面の心理的ハードルが下がり、より多くの人に身近な矯正治療となっています。
法制度・保険適用の動き
歯列矯正そのものは2024年時点でも原則として保険適用外の自由診療です。
ただし例外的に、厚生労働省が定めた先天異常や顎変形症などの特定の疾患に起因する咬合異常については保険適用となります。例えば口唇口蓋裂や顎変形症などは矯正治療が保険で受けられますが、ローコストが扱うような美容目的の矯正は現在も保険が効かないのが現状です。
ただ、2024年6月の診療報酬改定では一つ前進があり、学校歯科健診で噛み合わせ異常を指摘された子供について初回相談と検査診断が保険適用になりました。
これは矯正治療そのものが保険でできるようになったわけではありませんが、「矯正が必要かどうかを判断するための精密検査」を保険で受けられるようにしたものです。
将来的に矯正治療の保険適用拡大も議論されていますが、全面的な適用には慎重な声も多く、少なくとも現時点(2025年)ではマウスピース矯正も含め通常の矯正は自費治療である点に変わりありません。
競合他社の台頭と市場の変化
近年マウスピース矯正市場は急成長し、ローコスト以外にも多彩なブランドが登場しています。
2023年にはRIZAPグループが「エミナル矯正」(旧名アソゼロ矯正)を開始し、月々2,800円〜といった低価格矯正を打ち出しています。またシンガポール発のZenyumが日本展開を始めたり、通信教育大手のベネッセが出資するDPEARLが躍進するなど、各社しのぎを削っています。
競争が激化する一方で、矯正歯科医や学会は安全性確保に注視しており、「安価さだけを訴求するサービスには注意を」といった啓発も増えています。
ローコストも競合との差別化を図るため、監修医プランの充実や提携院ネットワークの拡張など付加価値向上に努めているようです。
患者にとっては選択肢が増える一方で、「どのサービスが信頼できるのか」を見極めることがより重要になっています。
トラブル防止のための注意点
マウスピース矯正の普及に伴い、一部でトラブルや消費者相談も発生しています。
例えば「説明されていた期間より治療が長引いた」「思ったほど歯並びが良くならなかった」「追加費用が発生したが事前に聞いていない」等です。
これらは医療行為である以上ゼロにはできませんが、トラブルを防ぐには事前説明をきちんと受けることと、自身でも疑問点を確認することが重要です。
ローコストでも治療前カウンセリングでシミュレーション結果を提示し、患者が納得した上で契約する流れを取っています。不明点はその場で質問し、同意できないことがあれば遠慮なく指摘しましょう。
また契約書や同意書の内容も確認し、返金ポリシーや保証についても把握しておくと安心です。
幸いローコストの運営会社は矯正歯科技工所としての実績もある専門企業で、提携先も矯正に理解のある歯科医院が選ばれているため、比較的信頼性は高いと考えられます。
とはいえ、最終的な治療結果には患者本人の協力度も大きく影響することを忘れないでください。「装置をサボらず付ける」「通院や連絡を怠らない」といった基本を守り、医師と二人三脚で治療を完遂することが何より重要です。
ローコスト矯正を検討中の方へのアドバイス
マウスピース矯正ローコストに興味を持った方に向けて、治療を成功させるためのアドバイスをお伝えします。
カウンセリング前の準備
カウンセリングを受ける前に、以下の点を整理しておくと良いでしょう。
自分の希望を明確にする 「どの部分の歯並びが一番気になるのか」「どの程度まで改善したいのか」「予算はどのくらいか」「治療期間の希望はあるか」といった点を整理しておきましょう。
過去の治療歴を把握する 虫歯治療、矯正治療、インプラントやブリッジの有無など、これまでの歯科治療歴を確認しておきます。お薬手帳があれば持参しましょう。
質問リストを作成する 気になる点や不安な点をリストアップしておくと、カウンセリング時に聞き忘れを防げます。
複数のクリニックで相談する 可能であれば、2〜3つのクリニックでカウンセリングを受けて比較検討することをおすすめします。
信頼できるクリニックの選び方
ローコストの提携クリニックを選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。
説明の丁寧さ 治療内容、期間、費用、リスクについて分かりやすく説明してくれるかを確認しましょう。質問に対して曖昧な回答しかしないクリニックは避けるべきです。
院内の清潔さと設備 衛生管理が行き届いているか、必要な設備が整っているかをチェックしましょう。
スタッフの対応 受付から歯科医師、歯科衛生士まで、スタッフ全体の対応が親切で丁寧かを観察しましょう。
アクセスの良さ 定期的に通院することを考えて、自宅や職場からアクセスしやすい立地かを確認しましょう。
緊急時の対応 装置のトラブルや痛みが強い場合などの緊急時に、適切に対応してもらえる体制があるかを確認しましょう。
治療成功のための心構え
マウスピース矯正を成功させるためには、患者自身の心構えも重要です。
装着時間の管理を徹底する 1日20時間以上の装着を毎日確実に守ることが治療成功の鍵です。スマートフォンのアラーム機能などを活用して装着忘れを防ぎましょう。
口腔ケアをていねいに行う マウスピース矯正中は通常以上に丁寧な歯磨きが必要です。食後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着し、マウスピース自体の清掃も怠らないようにしましょう。
定期通院を欠かさない 2ヶ月に1回程度の定期通院は必ず受けるようにしましょう。自己判断で通院をサボると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
疑問や不安は早めに相談する 治療中に何か気になることがあれば、我慢せずに早めにクリニックに相談しましょう。ローコストではLINEなどでのオンライン相談も可能です。
保定期間も確実に守る 矯正治療が終わった後の保定期間も、治療の一部です。リテーナーの装着指示を守らないと後戻りが起こる可能性があります。
まとめ:あなたに適した矯正方法の見つけ方
マウスピース矯正ローコストは、「安く」「目立たず」「短期間で」矯正治療を受けたい方にとって魅力的な選択肢です。
しかし、どんなに優れた治療法でも、すべての人に適しているわけではありません。
ローコストが適している人
- 軽度〜中度の歯並びの乱れがある
- 装置が目立つのが嫌
- 通院回数を少なくしたい
- 自己管理に自信がある
- 費用を抑えたい
他の治療法を検討した方が良い人
- 重度の歯並びの乱れや顎の骨格に問題がある
- 自己管理が苦手
- 確実性を最重視したい
- 抜歯を伴う大幅な移動が必要
大切なのは、安さだけで判断するのではなく、自分の歯並びの状態、ライフスタイル、価値観に合った矯正方法を選ぶことです。
まずは無料カウンセリングを受けて、専門医の意見を聞いてみることから始めましょう。複数のクリニックで相談し、納得できる治療法を見つけることが、理想の歯並びへの第一歩となります。
矯正治療は人生を通じての歯の健康にも関わる大きな決断です。この記事で紹介した情報を参考に、ぜひ最適な選択をしていただければと思います。
美しい歯並びは、あなたの笑顔をより魅力的にし、自信を与えてくれるはずです。一歩踏み出す勇気を持って、理想の歯並びを手に入れてください。