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矯正中にホワイトニングはできる?種類別の可否と注意点を医師が徹底解説

「矯正治療中だけど歯も白くしたい」「マウスピース矯正中にホワイトニングはできるの?」「矯正とホワイトニングを同時にするメリットはある?」

そんな疑問や不安をお持ちの方へ。 この記事では、歯列矯正治療中にホワイトニングができるかどうかについて詳しく解説します。

矯正装置の種類別のホワイトニング可否、同時に行うメリット・デメリット、注意点、おすすめのタイミングなど、矯正中のホワイトニングに関する情報を歯科医師の視点から分かりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください!

目次

矯正中にホワイトニングはできる?装置別に解説

矯正治療中にホワイトニングができるかどうかは、矯正装置の種類によって大きく異なります。それぞれの装置ごとにホワイトニングの可否を詳しく見ていきましょう。

表側矯正(ブラケット矯正)中のホワイトニング

表側矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を接着し、ワイヤーで連結する最も一般的な矯正方法です。

結論:基本的にできない(矯正終了後に行うのが望ましい)

表側矯正中にホワイトニングができない主な理由は以下のとおりです。

  • ブラケットが歯の表面に付いているため、その部分にホワイトニング剤が届かない
  • ブラケットの下の部分だけ色が変わらず、矯正終了後に「ブラケット跡」として色ムラが残る可能性がある
  • 矯正装置の接着剤(ボンディング材)の強度が低下するリスクがある

表側矯正中に無理にホワイトニングを行うと、矯正装置を外した後に歯の色にムラができてしまうため、矯正終了後にホワイトニングを行うのが一般的です。

裏側矯正(リンガル矯正)中のホワイトニング

裏側矯正は、装置が歯の裏側(舌側)に付くため、表からは見えない矯正方法です。

結論:オフィスホワイトニングなら可能

裏側矯正中は以下の理由から、限定的にホワイトニングが可能です。

  • 装置が歯の裏側についているため、表側の歯の表面にホワイトニング剤を塗布することができる
  • ただし、ホームホワイトニングでは専用マウスピースが装置と干渉する可能性があるため難しい
  • 歯科医院でのオフィスホワイトニングであれば、医師の管理下で安全に行える

裏側矯正中のホワイトニングは、歯科医師と相談しながら慎重に進めることが重要です。特に接着剤への影響を最小限に抑えるため、専門家の指導のもとで行うことをおすすめします。

マウスピース矯正中のホワイトニング

マウスピース矯正(インビザラインなど)は、透明なマウスピースを使用して歯を動かす矯正方法です。

結論:ほとんどの場合可能で、むしろ相性が良い

マウスピース矯正中のホワイトニングが可能な理由は以下のとおりです。

  • マウスピースは取り外し可能なため、ホワイトニング処置時に邪魔にならない
  • マウスピース自体をホワイトニングのトレーとして使用できる場合もある
  • ブラケットのような固定式装置がないため、色ムラのリスクが低い
ホワイトニング方法 マウスピース矯正中の可否 注意点
オフィスホワイトニング ◎ 可能 施術前後はマウスピースを外す必要がある
ホームホワイトニング ○ 可能(相性良好) 場合によっては矯正用マウスピースをホワイトニング用としても使える
デュアルホワイトニング ○ 可能 マウスピース矯正との組み合わせで効率的
セルフホワイトニング △ 可能だが効果限定的 市販品は効果が弱く、専門的なケアには劣る

マウスピース矯正中は、ほとんどのホワイトニング方法が実施可能であり、特にホームホワイトニングとの相性が良いのが特徴です。

矯正中にホワイトニングを同時に行うメリット

矯正治療中にホワイトニングを並行して行うことには、いくつかのメリットがあります。適切な方法で行えば、治療効率を高めることができます。

時間の効率化が図れる

矯正治療とホワイトニングを同時に行うことで、全体的な治療期間を短縮できる可能性があります。

  • 矯正治療は一般的に1〜3年程度かかるため、その期間中にホワイトニングも並行して行うことで、治療完了時には歯並びも白さも両方理想的な状態になる
  • 矯正終了後にホワイトニングを始めると、さらに数ヶ月の期間が必要になるが、同時進行なら総治療期間を短縮できる
  • 特にマウスピース矯正の場合、装置の交換のタイミング(通常1〜2週間ごと)でホワイトニングの進捗も確認できる

マウスピース矯正の場合はコスト削減も可能

マウスピース矯正とホームホワイトニングを組み合わせると、コスト面でもメリットがあります。

  • マウスピース矯正の装置をホワイトニング用トレーとしても使用できる場合がある
  • 別途ホワイトニング用のマウスピースを作製する費用(通常1〜2万円程度)を節約できる
  • マウスピース内にホワイトニングジェルを入れることで、矯正しながらホワイトニングも行える「一石二鳥」の効果

モチベーションの維持につながる

矯正治療は長期間にわたるため、途中でモチベーションが低下することがあります。

  • ホワイトニングの効果は比較的短期間で実感できるため、目に見える変化がモチベーション維持につながる
  • 白くなっていく歯を見て、矯正治療も頑張ろうという気持ちになりやすい
  • 治療の途中経過でも見た目の改善を実感できることで、治療継続のモチベーションが高まる

矯正中にホワイトニングを行う場合の4つの注意点

矯正中にホワイトニングを行う場合は、いくつか注意しなければならないポイントがあります。リスクを理解した上で、慎重に進めることが重要です。

注意点①:痛みや知覚過敏が生じやすい

矯正治療中は歯が移動しているため、通常よりも敏感な状態になっています。

  • 矯正による歯の移動で、歯根膜という組織に圧力がかかり、歯がもともと敏感な状態になっている
  • そこにホワイトニング剤の刺激が加わると、強い痛みや知覚過敏が生じる可能性が高まる
  • 特に矯正装置の調整直後(1週間程度)は、歯が最も敏感な時期なのでホワイトニングは避けるべき

対策:矯正装置の調整から2週間程度経過した、比較的痛みが落ち着いた時期にホワイトニングを行う。また、フッ素配合の知覚過敏用歯磨き粉を日常的に使用することで、症状を緩和できることもあります。

注意点②:色ムラができる可能性がある

特に表側矯正中のホワイトニングでは、装置が付いている部分と露出している部分で色の差が生じるリスクがあります。

  • ブラケットが付いている部分にはホワイトニング剤が届かないため、その部分だけ色が変わらない
  • 矯正装置を外した後、「ブラケット跡」として四角い模様が残ってしまう可能性がある
  • マウスピース矯正でも、アタッチメント(歯に付ける小さな突起)がある場合は同様のリスクがある

対策:表側矯正の場合は原則として矯正終了後にホワイトニングを行う。マウスピース矯正の場合はアタッチメントの位置を考慮したホワイトニング計画を立てる。

注意点③:矯正装置の接着強度が低下するリスクがある

ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素や過酸化尿素は、矯正装置の接着剤に影響を与える可能性があります。

  • ホワイトニング剤がブラケットの接着剤(ボンディング材)に接触すると、その強度が低下することがある
  • 接着強度が低下すると、ブラケットが外れやすくなり、矯正治療の進行に支障をきたす
  • 特に高濃度の薬剤を使用するオフィスホワイトニングではリスクが高まる

対策:裏側矯正やマウスピース矯正を選択する。表側矯正の場合は、歯科医師と相談した上で低濃度の薬剤を使用するか、矯正終了まで待つ。

注意点④:追加費用がかかる

矯正治療自体が高額な治療であるため、さらにホワイトニングを追加すると経済的負担が大きくなります。

  • 矯正治療費用:30〜100万円程度
  • ホワイトニング費用:オフィスホワイトニング(1回2〜5万円)、ホームホワイトニング(3〜5万円)、デュアルホワイトニング(6〜10万円)

対策:矯正とホワイトニングをセットで提供している歯科医院を選ぶと、割引が適用される場合がある。また、費用や治療計画について事前に詳しく相談し、無理のない支払い計画を立てることが重要です。

矯正装置別にみたホワイトニング方法の選択

矯正装置の種類に応じて、最適なホワイトニング方法も異なります。ここでは、各矯正方法に適したホワイトニング方法を紹介します。

マウスピース矯正中の最適なホワイトニング方法

マウスピース矯正は最もホワイトニングとの併用が容易な矯正方法です。

ホームホワイトニング(最もおすすめ)

  • マウスピース矯正の装置をホワイトニング用トレーとしても使用できる場合がある
  • 矯正用とホワイトニング用で装置を使い分ける(例:日中は矯正用、夜はホワイトニング用)こともできる
  • 低濃度の薬剤を使用するため、知覚過敏などの副作用が比較的少ない

オフィスホワイトニング

  • マウスピースを外している間に歯科医院で処置可能
  • 即効性があり、短時間で効果を実感できる
  • ただし知覚過敏などの副作用が出やすいため、矯正中は低濃度の薬剤での施術が推奨される

デュアルホワイトニング

  • オフィスとホームの両方を組み合わせることで、効果的かつ持続的な白さを得られる
  • マウスピース矯正との相性も良いが、費用負担が大きくなる点には注意

裏側矯正中の最適なホワイトニング方法

裏側矯正は装置が歯の裏側にあるため、限定的にホワイトニングが可能です。

オフィスホワイトニング(おすすめ)

  • 歯科医師が直接歯の表面に薬剤を塗布するため、装置が邪魔にならない
  • 専門家の監視下で行うため、装置への影響を最小限に抑えられる
  • 矯正装置の調整から時間が経っている時期を選んで行うことが重要

ホームホワイトニング(難しい場合が多い)

  • 裏側の装置があるとマウスピースが正確にフィットしないことがある
  • 特殊な形状のマウスピースを作製できる場合もあるが、費用が高くなる可能性がある
  • 歯科医師に相談し、可能かどうか判断してもらう必要がある

表側矯正中のホワイトニング方法(基本的に非推奨)

表側矯正中のホワイトニングは基本的に推奨されませんが、どうしても行いたい場合は以下の方法が考えられます。

セルフホワイトニング製品の部分的使用

  • ブラケットの周りや、装置が付いていない部分に限定して使用する
  • ただし効果は限定的で、色ムラのリスクも高い
  • あくまでも部分的・一時的な対応として考えるべき

矯正終了間近の場合

  • 装置を外す直前の時期であれば、医師と相談の上で検討する
  • ただし装置を外した後の色ムラが気になる可能性がある

矯正中のホワイトニングに関するよくある質問

矯正中のホワイトニングについて、多くの方が持つ疑問にお答えします。

Q1: 矯正中にホワイトニング歯磨き粉は使用しても大丈夫?

A: マウスピース矯正中や裏側矯正中であれば、ホワイトニング歯磨き粉を使用しても基本的に問題ありません。ただし表側矯正中は、ブラケットの周りだけ効果が現れずに色ムラのリスクがあるため注意が必要です。

また、ホワイトニング歯磨き粉に含まれる研磨剤が強すぎると、矯正装置を傷つける可能性もあるため、低研磨性のものを選ぶことをおすすめします。歯科医師に相談の上、自分に合った製品を選ぶとよいでしょう。

Q2: 矯正治療中のホワイトニングのベストなタイミングはいつ?

A: マウスピース矯正の場合は、矯正の途中からでも開始可能です。特に矯正治療の中期以降(全体の半分以上が進んだ時期)が理想的です。この時期は歯の大きな移動が落ち着いてきており、最終的な歯の位置に近づいている状態だからです。

裏側矯正の場合は、装置の調整から2週間程度経過した、痛みが落ち着いた時期を選ぶことが重要です。

表側矯正では、矯正終了後(装置を外した後)にホワイトニングを行うのが基本です。どうしても矯正中に白くしたい場合は、担当医と相談しましょう。

Q3: 保定期間中のホワイトニングは可能?

A: 保定期間中(矯正装置を外した後、歯の位置を安定させるために保定装置を使用する期間)は、ほとんどの場合ホワイトニングが可能です。

リテーナー(保定装置)がマウスピースタイプの場合は、それをホワイトニング用トレーとして使用できることもあります。ワイヤータイプのリテーナーの場合も、歯の表面が露出しているため、オフィスホワイトニングやホームホワイトニング(専用トレー使用)が可能です。

保定期間中のホワイトニングは、矯正直後の歯が安定していない時期を避け、リテーナー装着から1〜2ヶ月経過してから行うのが理想的です。

Q4: 矯正中にホワイトニングをする場合、費用はどのくらいかかる?

A: 矯正中のホワイトニング費用は、選択する方法によって異なります。一般的な価格帯は以下のとおりです。

ホワイトニング方法 一般的な費用 矯正中の特別料金の有無
オフィスホワイトニング 1回あたり2〜5万円 矯正患者向け割引がある場合も
ホームホワイトニング 3〜5万円 マウスピース矯正の場合、トレー代が不要になる場合も
デュアルホワイトニング 6〜10万円 矯正とセットの場合、割引がある場合も
セルフホワイトニング 数千円〜1万円程度 一般と同じ

多くの歯科医院では、矯正治療とホワイトニングを同時に行う患者向けのパッケージ料金や割引を提供しています。事前に複数の歯科医院で相談・比較することをおすすめします。

Q5: 未成年でも矯正中にホワイトニングはできる?

A: 未成年、特に18歳未満の場合は、歯の発育途上であるため、ホワイトニングは基本的には推奨されません。過酸化水素などの薬剤が歯の成長に影響を与える可能性があるからです。

ただし、18歳以上で永久歯がすべて生えそろっている場合は、医師の判断によってはホワイトニングが可能な場合もあります。いずれにせよ、未成年のホワイトニングについては必ず専門医に相談することが重要です。

【まとめ】矯正中のホワイトニングは種類によって可能性が変わる

矯正中のホワイトニングについて説明してきましたが、ここで重要なポイントをまとめます。

  1. 矯正装置の種類によって可能性が異なる
    • マウスピース矯正:ほぼすべてのホワイトニング方法が可能
    • 裏側矯正:オフィスホワイトニングを中心に限定的に可能
    • 表側矯正:基本的には矯正終了後にホワイトニングを行うのが望ましい
  2. 同時に行うメリットもある
    • 治療期間の効率化
    • マウスピース矯正の場合はコスト削減の可能性も
    • 目に見える変化があることでモチベーション維持につながる
  3. 注意点を理解して行う
    • 痛みや知覚過敏が生じやすい
    • 色ムラができる可能性がある
    • 矯正装置の接着強度が低下するリスクがある
    • 追加費用がかかる
  4. 最適なタイミングを選ぶ
    • 矯正装置の調整から2週間程度経過した時期
    • マウスピース矯正なら矯正の中期以降
    • 表側矯正なら矯正終了後がベスト
  5. 必ず歯科医師に相談する
    • 自分の矯正状況や歯の状態に合わせた判断が必要
    • 矯正とホワイトニングの両方に精通した歯科医師の指導を受けることが重要

矯正治療中にホワイトニングを検討している方は、この記事の情報を参考にしながら、必ず担当の歯科医師に相談してください。あなたの歯の状態や矯正の進行状況を踏まえた、最適なアドバイスを受けることができます。

美しい歯並びと白い歯を両立させて、理想の笑顔を手に入れましょう!

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