「授乳中だけど、歯を白くしたい…」 「赤ちゃんへの影響が心配だけど、ホワイトニングはできるの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
出産後に写真を撮る機会が増えたり、自分の歯の色が気になったりして、授乳中にホワイトニングを検討される方は少なくありません。
そこでこの記事では、授乳中のホワイトニングの安全性について、歯科医師の立場から詳しく解説します。
赤ちゃんへの影響や代替方法も紹介するので、授乳中でも安心して歯を白くする方法を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
結論:授乳中のホワイトニングは避けるべき
結論から申し上げると、授乳中のホワイトニングは避けるのが賢明です。
多くの歯科医院では、安全性を考慮して授乳中の方へのホワイトニング施術をお断りしています。その理由は主に以下の点です。
授乳中にホワイトニングを避けるべき理由
- 成分が母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性がある
- 授乳中の体はホルモンバランスが不安定で副作用が出やすい
- 安全性を証明する十分な研究データがない
歯科の世界では「リスクとベネフィットのバランス」が重要視されます。授乳中のホワイトニングは、得られる美容上のメリットに比べて、赤ちゃんへのリスクが高いと判断されているのです。
ホワイトニングの種類と授乳中の安全性
ホワイトニングには大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴と授乳中の安全性について解説します。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングとは、歯科医院で行う高濃度の過酸化水素や過酸化尿素を使用した施術です。
授乳中の安全性:×(推奨されない)
歯科医院で行うオフィスホワイトニングでは、30〜35%という高濃度の薬剤を使用します。これらの成分が血液中に入り、母乳を通じて赤ちゃんに影響を与える可能性があります。
また、ホワイトニング剤が体内に吸収された場合の安全性を証明する十分なデータがないため、授乳中は避けるよう推奨されています。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングとは、歯科医院で作製したマウスピースに低濃度のホワイトニング剤を入れて、自宅で行う方法です。
授乳中の安全性:×(推奨されない)
オフィスホワイトニングより濃度は低いものの(10〜15%程度)、やはり薬剤が体内に吸収される可能性があります。授乳中は避けるのが無難です。
授乳中に知らずにホワイトニングをしてしまったら?
「妊娠・授乳中とは知らずにホワイトニングを受けてしまった」という方もいるかもしれません。その場合は以下のような対応を取りましょう。
- 慌てず、かかりつけの歯科医師に相談する
- 短時間の施術であれば、大きな影響はないケースが多い
- 心配な場合は、一時的に授乳を中断して母乳を捨てる選択肢もある
基本的には1回の施術で深刻な影響が出る可能性は低いと考えられていますが、念のため歯科医師や小児科医に相談することをおすすめします。
授乳中でもできる!歯を白くする6つの代替方法
授乳中はホワイトニングができないとしても、歯を白くするための代替方法はいくつかあります。安全に歯の見た目を改善できる方法を紹介します。
1. PMTC(専門的な歯のクリーニング)を受ける
歯科医院で行う専門的なクリーニング(PMTC)は、表面の着色や歯垢を除去するため、歯を白く見せる効果があります。薬剤を使用しないため、授乳中でも安全です。
2. ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使う
ホワイトニング用の歯磨き粉には、過酸化物を含まないタイプもあります。研磨剤で表面の着色を落とすタイプなら、授乳中でも比較的安全に使用できます。
ただし、あくまで表面の汚れを落とす効果のため、歯の内部からの白さを求める場合には効果が限定的です。
3. 歯のマニキュア(デンタルコーティング)を検討する
歯の表面に薄い樹脂をコーティングする方法で、一時的に歯を白く見せることができます。薬剤が体内に吸収される心配が少ないため、授乳中でも比較的安全です。
4. 着色しやすい飲食物を控える
コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレーなどの着色しやすい食べ物・飲み物を控えることで、歯の黄ばみを予防できます。
特に授乳中はこまめな水分補給が必要なので、水やノンカフェインのハーブティーなどを選ぶとよいでしょう。
5. 電動歯ブラシを活用する
電動歯ブラシは手磨きより効果的に歯の表面の着色を落とせます。授乳中でも安全に使用でき、日々のケアで歯を白く保つのに役立ちます。
6. 定期的な歯科検診を受ける
3〜6ヶ月に一度の定期検診を受けることで、歯の健康を維持し、着色の少ない白い歯を保つことができます。
授乳中と妊娠中のホワイトニングの違い
授乳中と妊娠中では、ホワイトニングに対する考え方に若干の違いがあります。以下にその違いをまとめました。
時期 | ホワイトニングの安全性 | 理由 |
---|---|---|
妊娠中 | × (推奨されない) | 胎児の発育への影響が不明、つわりなどで副作用が強く出る可能性 |
授乳中 | × (推奨されない) | 成分が母乳を通じて赤ちゃんに移行する可能性、ホルモンバランスの変化で副作用が出やすい |
いずれの場合も、基本的には赤ちゃんへの安全性を考慮して、ホワイトニングは避けるのが無難です。
授乳中のホワイトニングに関するよくある質問
Q1: 授乳期間が長いのですが、いつからホワイトニングができますか?
授乳をやめてから1〜2ヶ月経過した時点で、ホワイトニングを始めても大丈夫という意見が多いです。ただし、体調や状況によって異なるため、必ず歯科医師に相談することをおすすめします。
Q2: 市販のホワイトニングキットは授乳中に使用しても大丈夫ですか?
市販のホワイトニングキットも薬剤を使用するものがほとんどなので、やはり授乳中は避けるのが賢明です。製品によっては低濃度のものもありますが、安全性を保証するデータが不足しているため、リスクを取る価値はないでしょう。
Q3: 歯科医院によってはOKと言われることもあるのですが、どうしてですか?
歯科医院によって見解が分かれることがあります。これは、ホワイトニング剤の種類や濃度、また歯科医師の臨床経験によるところが大きいです。ただし、多くの歯科医師会や学会のガイドラインでは、「安全性が確立されていないため、授乳中は避けるべき」という見解が一般的です。
Q4: 授乳中に歯が黄ばみやすいのは本当ですか?
ホルモンバランスの変化や生活習慣の変化(例:コーヒーや紅茶をよく飲むようになった)によって、歯が黄ばみやすくなることはあります。また、睡眠不足や育児の忙しさから歯磨きが疎かになることも一因かもしれません。
Q5: 授乳を一時的に中断してホワイトニングをすることは可能ですか?
理論上は可能です。例えば、施術後24時間は母乳を搾乳して捨て、その間は冷凍保存しておいた母乳や粉ミルクで対応する方法があります。ただし、これは授乳リズムを崩す可能性もあるため、メリットとデメリットをよく考慮すべきです。
まとめ:授乳後のホワイトニングを計画しよう
この記事では、授乳中のホワイトニングについて詳しく解説しました。
重要なポイントをおさらいしましょう:
- 授乳中のホワイトニングは、赤ちゃんへの安全性を考慮して避けるのが賢明
- 代替方法として、PMTCや着色防止、表面クリーニングなどの方法がある
- 授乳が終わってから1〜2ヶ月後に、ホワイトニングを検討するのがベスト
授乳中は、赤ちゃんの健康を第一に考え、安全な方法で歯のケアを行いましょう。そして、授乳後のホワイトニングを今から計画しておくのも良いでしょう。
赤ちゃんとの大切な時間を過ごしながら、将来的に美しい歯を手に入れるための準備を始めてみてはいかがでしょうか。
心配なことがある場合は、必ず歯科医師に相談してください。一人ひとりの状況に合わせたアドバイスを受けることが大切です。